~羽 (わ) …ばかりに,… …ばかりだ …ては,…ては… ひと~ …かのように,… こんな…(こと)はない
昔、ある所に、貧乏な若者がおりました。 ある日のことです。若者が田を耕していると、体に矢が刺さった一羽の鶴が舞い降りてきました。鶴は、まるでこの矢を抜いてくれと言わんばかりに鳴いていました。「可愛そうに。よしよし、少しの辛抱だよ」 若者は、そう言って矢を抜いてやりました。 鶴は、まるでお辞儀をするかのように、何度も首を振りながら、嬉しそうに飛んで行きました。 その三日後の夜のことでした。若者が寝ようとしていると、表の戸をトントンと叩く音がしました。「いったいこんな時間にだれだろう。」 若者が戸を開けると、そこには、目もくらむばかりに美しい娘が立っていました。 「道に迷っているうちに、夜になってしまいました。申し訳ありませんが、今晩ここに泊めていただけないでしょうか。」 「それはお困りでしょう。こんな狭いところでよかったら、どうぞお泊まりください。」 若者は、そう言って、その娘を泊めてやりました。
一晩だけかと思ったら、娘は、その次の日も泊めてくれと言いました。若者が、良かったら何日でも泊まっていきなさいと言うと、娘は、次の晩も、またその次の晩も泊まりました。そして、とうとう若者の嫁にしてくれと言い出しました。 若者は「貧乏な俺の嫁になっても、苦労するばかりだ。」といいましたが、娘は「どんなに貧乏でもかまいません。一生懸命働きますから、どうか嫁にしてください。」と頼みました。もちろん、若者にとってこんな嬉しいことはありません。喜んでその娘を嫁にしました。 娘は、美しく、優しく、そして働き者でした。若者は、まるで夢でも見ているような幸せな気持ちでした。 ある日のこと、娘は、若者に、機を織る部屋を作ってやるほしいと言いました。若者が機を織る部屋を作ってやると、今度は,[どうか私が機を織ってるところを決してみないでください。]と言いました。なぜか尋ねると、「わけは言えません。とにかく絶対に見ないと約束してください。約束を破ると、私はあなたの所にいられなくなります。」と、強い調子で言いました。 若者が絶対に見ないと約束すると、娘はその部屋に入って機を織り始めました。やがて部屋から出てきた娘は、少し疲れた様子でしたが、にっこりと笑って、織り上がった布を若者に見せました。それは、若者がこれまでに見たこともないきれいで、立派な織物でした。 「これを町へ持って行って、売ってください。きっと高く売れるでしょう。」娘にそういわれて、若者はそれを町へ売りにいきました。すると、驚いたことに、町一番の金持ちが、信じられないような大金でその織物を買ってくれました。 若者は嬉しくてたまりません。家に帰ると、娘に、もう一回織ってくれ、と頼みました。娘は頷いて、また部屋に入って機を織り始めました。 ふと、若者は不思議に思いました。「どうしてあんなにきれいで立派な織物ができるのだろう。ちょっと見てみたいものだ。」 若者は、もし見たらあなたのところにはいられなくなる、と言った娘の言葉を思い出して、じっと我慢しました。けれども、とうとう我慢ができなくなって、小さな節穴から部屋の中をのぞきました。 「ありゃりゃ……!」 若者は、のぞいてびっくりしました。部屋の中にいるのは、あのきれいで優しい娘ではなく、一羽の鶴でした。鶴が、自分の羽を抜いて羽織、抜いては織りしているのです。 若者に見られてしまった鶴は、悲しそうに言いました。「見ないでくださいと言ったのに、あなたは見てしまいました。私は、以前あなたに助けていただいた鶴です。恩返しのためにあなたの所に来ましたが、見られてしまった以上、もうここにいるわけにはいきません。」 そういうと、鶴は、織物を半分織り掛けたまま、遠い空へ飛んでいってしまいました。 悲しそうな鶴の鳴き声だけが、夕焼けの空にいつまでも響いていました。
文法:
1、…ばかりに、… 今にも泣きださんに興奮している。 噛み付かんに抗議をしている。 この作品は目を見張るばかりに素晴らしい。 体が凍るばかりに冷たい北風が吹いている。 2、…かのように、… 世界の終わりが来るかのように、深刻な顔をしている。 犯人が田中氏であるかのように、報道していた。 3、…ばかりだ 何を聞いても、泣くばかりだ。 彼と一緒にいても、退屈するばかりだ。 4、こんな…(こと)はない こんな腹が立つことはありません。 こんな面白いことはありません。 5、…ては…、…ては… リボンを結んでは解き、結んでは解きしている。 手紙を書いては消し、書いては消ししている。
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